World725


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匿名様リク
「こんなのあり!?」普段とキャラ違うセフィ(クラ)に戸惑うクラ(セフィ)



 訓練を終えて着替えを済ませて、クラウドは疲れた身体を引きずるようにしてエントランスを出た。





「さむ・・・」





 空を見上げると、どんよりと黒い雲が覆っていて随分空が低く見えた。
 空気もかなり冷え込んでいて、もう冬なんだと改めて実感する。

 シャワーを浴びてしまったせいか、いっそう寒さが身にしみるようだった。





「早く・・・帰ろう・・・」





 誰に呟くでもなく、そっと言葉を漏らすと愛しい人の待つ部屋へと急いだ。








−−−−







「ただいま・・・」





 かじかむ手でやっと扉を開けると、誰も居ない冷え切った部屋にそう言った。

 2人で居るときは、ひどく暖かくて優しい部屋なのに。
 今日に限って、冷たく冷え切った部屋がひどく心細い。


 急いで部屋の暖房のスイッチを入れる。



 そして、習慣になった留守番電話とメールのチェック。
 今は、セフィロスは遠征中で暫く帰ってこない。

 だから、時折送ってくれるメールとたまに話せる電話がクラウドの楽しみだった。
 とはいえ、クラウドも任務や訓練で電話には出れないことも多い。

 そんなとき、セフィロスの残す声が少しだけその寂しさを紛らわしてくれるのだった。






『・・・クラウド。予定より早く帰れそうだ』





 そっけないメッセージ。
 けれど、それだけで十分クラウドの胸は温かくなる。

 早い会いたい・・・。







−−−−








「・・・クラウド?」





 居るはずのないセフィロスの声に驚いて、顔を上げた。

 いつの間にか・・・携帯を握り締めたままソファで眠りについてしまったらしい。
 暖房がタイマーで切れてしまったせいで、部屋はひどく冷たくなっている。



 急いで身体を起こし、セフィロスに駆け寄ろうとしてクラウドは身体の異変に気づいた。




「・・んっ・・・」

「クラウド!」





 そっとクラウド抱きとめたセフィロスの体から、不似合いな香りが漂う。
 涼しげな外見には不釣合いな、土誇りと血の香り。

 それが、セフィロスが急いで遠征からここへ戻ってきてくれたことを伝えていた。




「セフィ・・・おかえ・・・り・・・」

「なにを流暢なことを・・・すごい熱だ」





 そうか・・・などと、ぼんやりした頭で納得した。
 やけに熱い身体と、節々の痛みのわけをやっと知る。






−−−−






 クラウドにとっては、せっかく久しぶりに会えたのに怒ったような顔をしているセフィロスにばかり気が行ってしまう。





「ごめん・・・セフィに早く会いたくて・・・待ってようと・・・」





 熱に浮かされ途切れ途切れの言葉。
 ほてった顔と潤んだ瞳で見上げ、切なそうにそう呟く。

 セフィロスとて、1人の恋に落ちたただの男。





「もういい」

「セフィっ・・・んぁっ・・・」




 堪らなくなって、セフィロスはクラウドの唇を奪った。
 いつもより高い体温が、ひどく厭らしくて・・・どんどんのめりこむようにクラウドの下を絡めとり吸い上げた。





「んはっ・・・セフィ・・・くるし・・・」 





 キスから開放されたクラウドは、それだけ言うと力無く倒れ意識を失った。








−−−−






 思い瞼を押し上げると、明るくなった窓が飛び込んできた。
 そっと枕元の時計に目をやると、すっかり寝坊してることが分かる。

 慌てて飛び上がるように身を起こすと、激しい頭痛とめまいが襲う。





「うっ・・・」

「クラウド、起きるのは無理だ」




 部屋のドアからセフィロスが入ってくる。




「セフィ・・・」





 すっかり風邪で掠れた声で、なんとかその名前を呼ぶ。





「あんまり心配させてくれるな・・・」

「ごめん・・・・」





 そっとベッドサイドに腰を下ろすと、優しくクラウドの頬を撫でた。





「今日は休むと言っておいた。」

「ありがと・・・セフィは?」

「遠征明けだ。」






−−−−







 1人で寂しく思っていた、それがセフィロスの言葉に嬉しくて溶け出す。
 そっとベッドから手を出すと、セフィロスの手を握り締めた。

 全て分かっているかのように・・・セフィロスも優しく微笑んだ。





「ひさしぶりだね・・・一緒にいれるの」

「暫く時間も出来る」

「そうなの?」

「ああ」




 クラウドが甘えるために、身を起こしてセフィロスに寄り添った。
 セフィロスは、ベッドサイドにかけてあったカーディファガンをそっとクラウドに羽織らせる。


 そんな細やかな気遣いにも、嬉しくてクラウドから笑みがこぼれた。






「あ・・・雪!」





 窓の外は、ちらちらと白い雪が舞っていた。

 1人で部屋に戻ってきたときは、冷たく重たい寒空も。
 雪舞う空を2人で見上げれば、優しい空間で。

 その幸せをかみしめて、そっと目を閉じた。





「早く、治してしまえ」

「・・・うん・・・」






 セフィロスに寄り添われ、また再び意識が途切れた。
 けれど、そこは甘く優しい眠り。

 セフィロスの優しい温もりに守られて、クラウドは徐々に深い眠りへと落ちていった。







END

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