World725


拍手お礼SS1
「泣ける映画BEST100」




『例え命尽きようとも…私は貴女を愛し続けるでしょう』

『別れの挨拶みたい…そんなの止めて下さい』

『…名残惜しいけれど、私は旅立たなくてはなりません』

『どうか…ご無事で…。』





 物悲しいメロディと共に、軍服に身を包んだ男が立ち去る後ろ姿が映し出された。それを見送る礼服を着た女が涙に暮れている。

 そのままシーンは切り替わり、軍服の男が戦場に足を踏み入れていた。激しい死闘が繰り広げられる。
 幾人もの兵士達が剣や銃を振るい、殺し合う。指揮官であるらしいその男は、号令をかけ更に敵陣への追い討ちを命じた。

 しかし、戦況は思わしくなくどんどん敵勢に押されていく。



「あ…!」



 そして、軍服の男も背後から詰め寄る敵兵に胸を貫かれた。




プツっ



 突如、映像が途切れた。


 その男が倒れたのか、それとも無事だったのか…確認する間も無かった。
 
 クラウドがはっと視線を上げると、テレビのリモコンがセフィロスの手に握られていた。




「セフィ…!」

「くだらん」



 頬を膨らませるクラウドに、セフィロスは不服そうな顔でこたえる。




「どうして?」

「先が分っているからだ」

「セフィ、この映画みたことあった?」




 セフィロスは、クラウドの質問には答えずテーブルの上に広げてある雑誌に目をやった。

『泣ける映画BEST100』

 ここ数日、2人の休みが重なるとクラウドが借りてきた映画を見ていた。
 映画のタイトルは、この雑誌の特集記事の上からの順番なのだ。






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