World725

未来への光(ED後模造)


第ニ話『ローレライの意思』



「ジェイド、俺はあの声に何か意味があるような気がするんだ」


 グランコクマにあるジェイドの私室で、俺はジェイドにそう持ちかけていた。

 俺がオールドランドに戻ったとき、事情を察したと言わんばかりに,
ジェイドはすぐ俺をここ,グランコクマ軍基地内にあるジェイドの私室へかくまってくれていた。

 いずれオリジナルルークとして・・・あいつの代わりにキムラスカへと戻らなければいけない日が来るかもしれない。でも、やらなければならない事があった。


 意識が戻る前に、俺の頭に響いてきた言葉・・・
 それは俺をオールドランドに再び戻し、何かを達成する
 『ローレライの意思』



「あなたがそう言うのであれば、ほぼ間違いがないと言えるでしょうね。」



 そこで一息つくと、ジェイドは感情を押し殺したような瞳で俺を見つめながら言った。



「ただし・・・私には、言葉の先にある本当の『ローレライの意思』というのが、どういう意図であるか理解できませんが。」
「それは・・・。」



 ジェイドの言葉に、俺は押し黙ることしかできなかった。いつだって、情報を読み取って未来へのヒントへつなげてくれたのはアイツ。
 俺は宝珠のときだって、ローレライの声を聞きながら・・・


 静まり返る部屋に、ジェイドの足音あだけが響き渡る。
 そして、ジェイドは俺の肩へそっと手を載せた。


「あなたは、十分辛い思いをしてきました。罪が償われたかどうかは私が判断するべきことではないでしょうが・・・何があなたに大事か・・・」
「いいんだ、ジェイド。」


 ジェイドの言わんとしていることを感じて、俺は口を挟む。ジェイドの気遣いは泣きたくなるほど嬉しい。

 でも、卑屈になるわけじゃないけど・・・多分、俺は使命を果たすためにこの世に戻された。そして、多分それはローレライだけじゃない、俺の意思でもあるんだと思う。


「分かりました。もちろん、私はあなたへの協力は惜しみません。」
「ありがとう、ジェイド」
「そして・・ルーク、あなたの帰る場所はここにもあることを忘れないでいてください。」
「ジェイド・・・。」


 少しだけ悲しげな微笑を浮かべるジェイドに、俺は心配するなという意味をこめて微笑み返した。




続く

Novel-2-へ