れのっち様へ
67000hitキリリク小説
『新想』(RC)
「痛っ・・・」
ただの盗賊だと思ってた。
襲われる一般人を救いだすため、飛び込んだけれど・・・
「丸腰で飛び込むやついるかよ、と。」
揶揄するような声が、背後から聞こえてきた。
むっとした目つきで、声のするほうを見上げると肩をすくめて飄々とした姿が目に入った。
レノだ。
いつも嫌なタイミングで現れる。
少しのイラつきと物凄く面白くない思いに、視線を合わせないように顔をそらすと、レノが小で声呟いた。
「ほっとくわけ、いかないだろ・・」
「そんなんだから、こっちがお前をほっとけないんだぞ、と」
レノのせりふに、驚いたよう顔を上げると視界いっぱいの赤い色が飛び込んできた。
「・・・ンッ・・・!」
突然唇をふさがれ、息がつまる。
すると、触れた唇から何か液体が喉に流れ込んでくるのが分かった。
抵抗むなしく、息苦しさに負けて液体はどんどん流れ込んでくる。
「・・・これでよしっと」
「げほっ・・・げほっ・・・何するんだ」
あまりの苦しさに涙を浮かべ、にらみつけるように見上げると、赤毛がにやりと笑うのが少しぼやけながら見えた。
「ポーションだよ、ポーション。おかげでのたれ死には免れたろ?」
「・・・。」
別に口移しじゃなくてもいいだろう、なんていう言葉を返す気力もなく少し疲れたようにうなだれる。
とりあえず、横に落ちた剣を拾い上げると、ポーションで少しだけ回復した気だるい身体を起こして立ち上がった。
「・・・相変わらず・・・かわいげなさ過ぎだぞ、と。」
背中に、そんなレノの声がぶつけられたのは知っていたけど、振り返ることなくフェンリルに跨りその場を去った。
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