望月様へ
70000hitキリリク小説
『激甘でどっぷりとR18なセフィクラ』
「ばっかだなぁ・・・お前そんなこと心配してんのか?」
気にしない様に気にしない様に・・・って思ってたことは、やっぱり気になることで・・・。
そんな様子を見かねたザックスが、悩みを話してみろっていうから話したのに。
当のザックスは、俺の悩みを聞いてよりによって大笑いをした。
そこは、神羅の訓練生やソルジャーが出入りするカフェルーム。
ザックスの大笑いに何事かと、皆がこっちを向いているのが分かった。
真剣に聞いてくれると、ザックスに話した自分が馬鹿だった。
「お、おい!クラウド・・・待てって!!」
そんなザックスの慌てた声を背中に、皆の視線に居たまれない思いで俺は席を立ちその場を後にした。
***
もう日も暮れて、誰も居なくなった屋外訓練施設。
無我夢中で駆け出した俺は、そこで力なく座り込み自分の手を見つめていた。
そこにあるのは男の手だった。
男にしては白く細く頼りない。
けれど、女性のような柔らかい肌も肉もない。
悲しくなり、ぐっと握り締めた。
自分を悩ませているのは、昨晩部屋に戻ったセフィロスとのやり取りからだった。
めずらしく、身体からは女性の香水を見に纏っていた。
驚いてセフィロスに問い掛けると、セフィロスは身分の高い女性の護衛の任務があったと言った。
そうなのか、と素直に返事をするとセフィロスはこう言った。
「気が強くとも、身分が高くとも所詮は女だ・・・誰かに守られねばならないのだろう」
そんな風に言ったセフィロスの表情が、見せたことのない優しさを纏ったもので・・・それ以上俺は何も言えなくなってしまった。
本当は聞きたかった。
その女性と何があったのか、どんな言葉を交わしたのか。
何故俺にそんなことを言うのか。
本当に護衛だけで、その香水は移ったものなのか・・と。
結局そんなことを言えるわけもなかったのだけれど。
セフィロスは、その女性に心を奪われてしまったのだろうか・・・?
男である自分は、やはり女性には勝てないのか・・・。
そんな悩みを、唯一セフィロスとの関係を知っている友人であるザックスに打ち明けて、先ほどの事態に陥ったというわけだった。
そんなこと、なんて軽く思えるわけがない。
じわりと浮かんだ涙を誤魔化すように強く目を閉じると、目の前に思いも寄らない人の気配を感じた。
「こんなところに居たのか」
まだ仕事中の時間のセフィロスが、そこに居た。
しゃがみこんだ自分の頭上から優しい声色が響いた。
信じられない思いで、顔を上げるとセフィロスの無表情な顔にやや驚きの色が浮かんだのが分かった。
「ザックスに感謝すべきなのか、謝罪させるべきなのか分からないな」
「え・・?」
意味不明な言葉をつぶやきながら、セフィロスはその場に膝を着くとそっと手を延ばした。
不思議にその指先を見ていると、優しい仕草でそっと頬に添えられ、いつのまにか零れ落ちていた涙をそっと拭われた。
「あ・・・」
「1人で泣かせておくわけには行くまい?」
そして、セフィロスはそっと俺を立たせるとそのまま無言でセフィロスの部屋へと向かった。
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