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7777hitキリリク小説
『同じ熱・違う指』(セフィクラ)
「クラウド・・・緊急事態!」
訓練の合間にかかってきた電話はザックスからだった。
いつもと明らかに違うのは、電話の向こうから聞こえるザックスの声が、本当に焦っていた事。
「どうしたんだよ、そんなに慌てて・・・」
「ソルジャーから緊急召集命令にお前充てといたから・・・と、とにかく、急いで部屋帰って来い!」
じゃあな、と一方的に言ってザックスからの電話が切れた。
大抵の物事には動じず、笑って済ませるザックスらしからぬ言動。訝しげに電話を見つめていると、ロッカールームを覗きに来た教官に声をかけられた。
「おい、お前クラウド・ストライフだな?」
「・・・はい」
「ソルジャー・ザックスから緊急招集がかかっている、早く行け!」
「あ・・・はい」
本当に、そんな命令かけたのか・・・などと半ば呆れながらクラウドは荷物を片付けると、シャワーを浴びるのも諦めて急いで部屋へ向かった。
***
急いでエレベータを降り、部屋のドアに手を掛けると中からなにやら叫び声が聞こえて来た。
「や、やめろ!」
「煩いな・・・そこを退かないと斬るぞ」
「頼むから大人しくしててくれ!」
ザックスが誰かと言い争っているようだけど・・・相手の声に聞き覚えは無い。
クラウドは慌ててドアを開けた。
「ザックス!大丈夫か!?」
「クラ・・・やっと、来たか」
「お前は誰だ」
廊下で道をふさいでいたザックスが救いが来たとばかりに振り返る。その向こう側で剣を構える少年が見える。
「お前こそ誰だ?」
ザックスの影に隠れて見えない少年の姿の不躾な質問に、クラウドは気分を害したようにぶっきらぼうに言い返す。
「クラウド・・・それ、セフィロス」
「え?」
「お前がクラウドか・・・」
クラウドは何が何だかさっぱり理解できず、2人の顔を代わる代わる見た。
冗談を言ってる風でもないザックス。
その後ろでコチラを見つめる少年は・・・確かに言われてみればセフィロスの面影を残していた。
セフィロスらしい少年の年齢は、15くらいだろうか?
いつもクラウドを覆い隠すほど高い身長は、クラウドより少し高い程度になっていて。
クラウドを抱きしめる逞しい腕や胸は、やや細くすらりとしていた。
そして、クラウドの心を捉えて射抜く鋭い視線を放つ瞳はそのままに、やや幼い輪郭のアンバランスさが美しくて、クラウドは息が止まりそうになった。
「ザックス、これは一体どういうことだ・・・?」
「こいつが剣を構えるのを止めたら、説明できるんだけどな・・・」
すると、クラウドの存在を目に留めたせいなのかセフィロスは大人しく剣をしまった。
その様子を認めたクラウドが、セフィロスに礼を言う。
「ありがとう、セフィ」
「・・・。」
ふと、セフィロスの視線に違和感を覚える。 まるで知らない他人を見るような顔をしていて・・・クラウドはすごく嫌な予感がした。
それを決定付けるかのようにザックスが口を開いた。
「クラウド、セフィロスは記憶も戻っちまってるんだ」
「嘘・・・」
クラウドはあまりのショックに目の前が真っ暗になるのを感じた。
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