81111hitキリリク小説
すがな様リク
FF12rw トマジ×リュド
『無意識の愛情』
俺は、何とも言えない複雑な思いを胸に2人の姿を見つめていた。
そんな俺の姿をまた、複雑な思いで見つめる目があったことは、今の俺はまだ知らない。
***
久しぶりに、砂海亭に活気が戻っていた。
世界に再び平和が訪れたこと、だけではなかった。
そこには、かつて手を取り合いともに闘った者達が集っていた、
「トマジ〜!酒足りないよ!!」
「あー、分かった分かった」
声の主のほうへ目をやれば、そこにはほろ酔いで頬をうっすらと赤くそめたかつての冒険の主人公ヴァンが手を上げていた。
そのヴァンの肩には、伝説の空賊バルフレアの腕かかけられている。
バルフレアは、俺の視線に気づくとニヤリと不適な笑いを浮かべ、ぐいとヴァンの肩を引き寄せて見せた。
ヴァンは、慌てたような照れたような顔をしてバルフレアに何か文句を言ったようだ。
そんな2人の様子をみて、俺はやれやれという顔をする。
すると、少しヴァンたちと離れたところに座っていたリュドが席を立つ姿が視界の角に見えた。
確か、あいつは自称ヴァンの子分の1人であるフィロが想いを寄せ居ていたはずだ。
案の定、席を立つリュドを不満げに見つめるフィロの姿が目に入った。
リュドは、そのまま俺の居るカウンターへと向かう。
「いいのか?」と言うような視線をリュドに向けつつ迎えると、その視線をさも気に留めた風も無くカウンターに用意されたスツールの1つに腰をかけた。
「あいつらのところへ行かなくていいのか?」
俺の居るカウンターなど何も面白いことはない、というような意味を込めて再度声に出して問い掛けると、リュドは真っ直ぐ俺を見つめて答えた。
「キミの方こそ、ヴァンたちの所へ行きたいんじゃないのか」
「・・・何言ってるんだよ、俺が酒を作らなくて誰が酒を作る」
咄嗟に出てきた答えは、心が見透かされたのかという焦りを隠すのに果たして十分な効果があったのかどうだかは分からなかった。
何も表情を映し出さないまま、リュドは続ける。
「私がここを変わろう。キミはヴァンのところへ行くがいい。」
やや強い調子でそう告げられ、少しの苛立ちを感じながらも、俺は得意の商売顔を崩すことなく・・・そして、リュドを見つめて答えた。
「客人をここに立たせるなんて出来るわけないだろ?
さぁ、戻った戻った」
***
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